事例集/技術解説 - DX

農業DX(ディジタルトランスフォーメーション)で今の幸せを未来につなぎたい 【株式会社シー・シー・ダブル】

CSR/CSVからSDGs/ESGへ

私たちは、企業様の情報インフラの構築から運用まで、安心安全な企業活動を支える”縁の下の力持ち”のような仕事を行っています。時に24時間365日稼働を余儀なくされる場面もあり、とても責任の重い仕事であると思っています。

CSR/CSV (企業の社会的責任/共通・共有価値の創造)

2010年ごろはCSR/CSVが盛んに言われました。企業の社会的責任/共通価値創造を通し、社会の一員として継続的な社会貢献・事業推進が企業に求められました。

私たちは、社会貢献・事業推進を行う上で、社員の健康がなければ成しえないとの考えから、大きく2つの事業を推進してきました。

地域活性化事業

都心に近い山梨県の地域性に着目し、「山梨ICT地産地消フォーラム開催」、「癒しの農園”ぐーももファーム”経営」を推進し、都市と地域の関係人口作り、休耕田/休耕地対策、社員に限定せず企業様の農業体験による健康経営推進に取り組んできました。

ICT人材育成事業

コアコンピテンシーであるICT関連技術を活かし、サイバーセキュリティに関する啓蒙活動、未来のプログラマー育成に向け、「セキュリティ・ミニキャンプin山梨」、「U-16山梨プログラミングコンテスト」を推進してきました。

これらの事業は多くの企業様からご支援をいただき、おかげさまを持ちまして10年という1つの節目を迎えることができました。

SDGs/ESG(持続可能な開発目標/環境・社会・ガバナンス, ESGに配慮した企業に投資を行うことが世界的傾向)

2015年ごろから、人類が抱える地球規模の課題への取り組みが企業に求められるようになりました。CSR/CSV時代の経験を活かし、17のSDGs開発目標の中から地球環境に関するテーマを選択しました。

中央本線で山梨県に入る最後のトンネルを抜けた時、甲府盆地に広がるブドウ畑の初夏の緑、秋の紅葉にハッとし癒された記憶があることでしょう。その景観を未来につなぎたいと考えた時、山梨県が日本におけるワイン造り発祥の地であることに着目し、自然豊かな景観の維持とワイナリー様・ブドウ栽培農家様の事業継続のお手伝いに挑戦することとしました。

ワイナリー様、ブドウ栽培農家様が抱えるSDGs課題

環境保護

農作物を安定して収穫するには、農機具や施肥、防除等が必要です。

しかしながら、それら農業生産活動を続けることで生態系や環境に影響を及ぼすリスクが気候変動とともに増加しています。

近年、持続可能な開発を目標としたSDGsや人、社会、環境に配慮したエシカル消費が注目されていますが、農業の分野においても化学肥料や農薬を使用しない、または一部制限した有機栽培の需要が世界中で高まっています。

ワイン市場の変化

有機栽培されたブドウを原料として、加工の過程で化学物質を用いずに作られたワインをオーガニックワインと呼びます。

エシカル消費の浸透も加わって、オーガニックワインの世界市場規模は、年平均12%のCAGRで成長しており、2025年には150億米ドル(1兆6,500億円)に達すると予測されています。

日本においてもオーガニックワイン消費が拡大しており、既に輸入されるスティルワインの10本に1本がオーガニックワインとなっています。

生産者自身の健康を守りブドウを健全に育てる

近年、農薬への規制が世界中で厳しくなっており、農薬を使用する生産者の健康への配慮の声も高まっています。

山梨県には、多くのワイナリーが存在しますが、高温多湿の日本の環境もあり、カビを原因とする病気発生のリスクが高く、有機栽培でのブドウ育成はほとんど行われてきませんでした。

そこで、環境データから病気発生リスクを予測し、最低限の防除でブドウの病害を抑えるとともに、健康被害の抑制にも効果が期待できる技術開発が望まれていました。

ぐーももファーミング アイシリーズ「モールドアイ(減農薬栽培支援サービス)」は、農業の分野におけるディジタルトランスフォーメーションを具現化したものです。次の10年に向けて、2019年にサービスを開始しました。

環境負荷発生リスクのデータ化と分析によるSDGsサービス

主なサービスの概要

【環境センサーの設置】
  • お客様圃場を訪問、ヒアリング、適切な設置場所の決定
  • センサーデーター: 温度,湿度,地温,体積含水率,EC
【クラウドでのデータ集約、分析、モニタリング】
  • 病気防除アラート通知
  • 生育管理, 防除履歴管理
  • 環境センサー電池アラート通知
【導入構築運用コンサルティング】
  • データの見方、データ分析から圃場のテロワールを把握し、それらに基づいた防除タイミングを従来の方法を補完する形で学習・習得いただくための支援サービス

将来への展望

本サービスはワイン用ブドウからスタートしましたが、生食ブドウや他の果実にも展開できるよう、技術開発を進めていきたいと考えています。

センサー設置
サービスイメージ