事例集/技術解説 - 働き方改革

フレックスタイム勤務制度の導入・労働時間の管理/残業抑止の取り組み 【株式会社富士通エフサス】

働き方改革に向けた背景

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業がテレワークを導入し、働き方を見直さざるを得ない状況となりました。株式会社富士通エフサスでは、更に遡る2016年より、クラウドやAI、IoTなどの技術革新や社内外の組織や異業種とのオープンイノベーションが進むビジネス環境の変化に伴い、従来の仕事の進め方とは一線を画した、新たなビジネスや価値創造が可能な働き方への脱却を目指してきました。

フレックスタイム勤務制度の導入

1ヵ月間の所定労働時間を定めておき、その範囲内で、毎日の出退勤の時刻を社員一人一人が決めることができるフレックスタイム勤務制度(以下、フレックス制度)。当社では、従来より一部の社員にフレックス制度を導入していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの拡大により、原則、全ての社員にコアタイム(必ず勤務しなければいけない時間帯)なしのフレックス制度を導入しました。

効果(メリット)

  • 社員それぞれが業務状況や繁閑に合わせて効率的に時間配分を行なうことで、残業削減に繋がる
  • 社員が休暇を取らずとも、家事や育児、介護、趣味等のための時間調整ができる
  • 勤務時間をずらすことで、通勤ラッシュ(蜜)を避けることができる
  • 働き方に自由性があるため、優秀な人材の採用や定着に繋がる

課題(デメリット)

  • お客様や取引会社等とのやり取りを行うにあたって、所定時間内での対応が求められるため、活用できる職種や部門が限られる
  • 勤務時間管理など、幹部社員による部下マネジメントが必要

テレワーク拡大に伴って利用が推進されたフレックス制度。より柔軟な働き方ができるようになりましたが、業務の開始時間と終業時間が不明確になり、労働時間の管理も同時に必要となりました。

労働時間の管理/残業抑止の取り組み

2019年4月に「働き方改革関連法」が施行され、時間外労働に対する規制が強化されました。労働時間の管理はもちろんのこと、労働力を効率よく投入し、生産性をいかに高めていくのかという点を意識した働き方改革が求められてきたのです。

社員の健康管理

「働き方改革関連法」において時間外労働は「月45時間、年間360時間」以内に抑えることが前提とされておりますが、当社では、原則「月40時間」以内に抑えるよう取り組んでいます。なお、残業時間が月40時間を超えた社員には健康状況の問診票の提出を必須としており、健康状態によっては、産業医や保健師との面談を実施しています。

残業抑止ツールの導入

当社では、残業を抑止するためのツールとして、当社製品でもある「FUJITSU Software TIME CREATOR(タイムクリエイター)」を全社に導入しました。

効果① 残業抑止
本ツールでは、終業時刻やその数十分前になると、そのことを知らせるメッセージをPCの画面に表示させ、強制的にPCをシャットダウンできます。テレワークの際は終業ベルも鳴らず、時間を忘れて作業をしてしまうケースがありますが、本機能により従業員に終業時刻の意識づけを行うことで、「残業抑止」に繋がります。また、上司への「どのような業務で残業するか」という申請・承認がなければ残業時間にPCが利用できないよう設定しており、テレワークで「部下が何のために残業するのか」を把握することが可能となっています。
効果② 隠れ残業の防止
本ツールの機能として「PCのログオン/ログオフ情報記録」があり、当社では勤怠システムと連携させ、社員の出退勤の記録と乖離があった場合には、アラート表示をさせています。これにより、”隠れ残業”を防止しています。

元々は長時間労働の抑制を目的に開発したツールでしたが、テレワークが推進された現在は、業務内容の可視化を目的として使用されるようになってきています。社員それぞれのPCでの業務内容を一覧化、グラフ化できる「働き方可視化」という機能を活用しており、テレワーク環境下における労務管理に役立っています。

今後の展望

フレックス制度やテレワーク推進に伴って労務時間の管理が必須となる中、残業抑止のようなツールを社員の管理という意識の下で使うと、社員のエンゲージメント低下に繋がり、労働環境を最適化する取り組みはうまくいかないかもしれません。現場の課題を見える化し、上司と部下の間で効率的な働き方について一緒に考えるため、かつ時間への意識を変えるためといった意図をしっかりと捉えて取り組みを進めることが成功の秘訣です。当社でもそのような意識のもとに改革を推進し、自分の働き方を客観的に見つめ直すことで、一人ひとりの自律的な働き方改善に繋がっています。